僕の父親の話。

まちだです。

僕の父親は中学校の教員(理科)でした。
教員生活の全てを田舎(北海道日高地方)で過ごし、教頭や校長を勤め上げ、無事に定年退職しました。
ある時期のこと。
僕が小学校高学年から中学生の頃なので、父の教員としてのポジションは中堅どころでしょうか。
父は赴任する先々で生徒指導を担当していました。
それは1980年代、いわゆる「中学生の校内暴力」が社会問題になっている時代。
つまり父はそのど真ん中にいたわけです。

田舎とはいえ(田舎だからなのか)、なかなかにパンチの効いた連中が多く、毎日多種多様に亘って問題が発生していました。
やれあいつが万引きしただの、やれ誰それが家出しただの、やれ他の中学校の連中と喧嘩してるだの。
自宅にはそれこそ一家団欒の時間だろうと、真夜中だろうとそんなことはお構いなしに電話が鳴り、そのたびに父はそそくさと出掛けていきます。朝になって顔にいくつもの傷をこしらえて帰ってくることもざらでした。仕事とはいえ、どうしてそこまでする必要があるんだろう。当時の僕は不思議でなりませんでした。

しかし、そんな生活が数年続くうちに、あることに気が付きました。
問題を起こしてばかりの生徒たちが、卒業するころにはすっかり父と親しくなっているのです。父の性分でどんなことにも逃げずに全力で立ち向かっていたからなのか、やがて向こうから心を開いていくようなのです。問題行動を起こす生徒も滅多になくなりました。卒業式の後には担任でもないクラスからプレゼントをもらっていました。挙句の果てに世間話をするために自宅に電話をかけてくる生徒も出てきました。生徒をお喋りをしている父は本当に楽しそうでした。そんな父の後姿を見ながら、「この人は本当に教師に向いているんだな」と生意気にも思ったものです。
そんな父も既に亡くなり、今では僕らの記憶の中で生き続けています。

父が生まれた日は昭和20年6月11日。
あの木製戦闘機「キ106」一号機の試験飛行があった日なのです。
「博士と過ごした無駄な毎日」の初演時にそのことを知った僕は身震いしました。
こんな偶然、こんな奇跡ってあるだろうか。
この物語は父が引き合わせてくれたに違いない。

やはりこの舞台は僕が関わらねばならない運命だったんだ。
そこまで考えました。

興奮のあまりに、僕はこの軌跡を稽古場で熱く語りました。
しかし周囲の反応はあまりにも冷静でした。
恐ろしいほどの無風状態に、僕は一瞬失望しましたが、冷静に考えてみればそのリアクションは至極当然なわけで。
でも、この舞台が父の導きによって生まれたであろうことは、僕に限って言えば真実です。

天国から「よく頑張ったな」と言ってもらえるよう、10月の札幌、そして来年6月の江別公演に向けて精進しようと思います。

(注・トップ画像は実際のものと何ら関係はありません)


チケット販売&予約、始まっています。
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クラウドファンディングも8/20から始まります。
ACTNOW( https://actnow.jp/ )で実施します。
より良い舞台にするために皆さんのご支援が必要です。
一緒にこの舞台を創りませんか?
ご参加、お待ちしています。

●劇団words of hearts 第19回公演●
「博士と過ごした無駄な毎日」

【あらすじ】
太平洋戦争末期。戦況は日を追うごとに厳しくなっている。国策として決められた木製戦闘機「キ106」の製造場所に選ばれたのは江別町(現江別市)。そこで多くの若者たちが「お国」のために懸命に働いていた。暗くなりがちな環境の中でも、若者たちは自分らしく生きている。そして昭和20年6月11日。ついにキ106一号機の試験飛行が行われた。大空を飛び立つキ106。固唾をのんで見守る人々が目にしたものは……。

【札幌公演】
2024年10月17日(木)~20日(日)
17日(19:30)
18日(15:00&19:30)
19日(14:00&18:30)
20日(14:00)
@生活支援型文化施設コンカリーニョ(札幌市西区八軒1条西1丁目2ザ・タワープレイス1F)

【江別公演】

2025年6月7日(土)18:00
@えぽあホール(江別市大麻中町26-7)

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