まちだ、ついに娑婆にもどる!

つい先程、8日間の入院生活を終えてついに帰宅しました。
久しぶりの自宅は、洗濯物が干されていて、ほんのりと湿気を感じました。
前回もお伝えした通り、今回は「尿管狭窄」の手術です。
そしてこれまた前回にお伝えしたのですが、手術のプランのどちらを選択したのかという話なのですが、蛇足ながらおさらいすると、その「2つのプラン」とはこんな感じでした。

①狭窄部分を切除して、尿管同士を縫合する。
②狭窄部分を切除し、膀胱の一部を切ってめくり、これらを繋ぐ。

「膀胱をめくる」という謎の頓珍漢ワードが出てきましたが、詳細については前回の投稿をご覧ください。

結論から申し上げると、今回、僕の執刀医は②を選択しました。そうなのです。まっちぃ、遂に膀胱をめくりました。
僕の膀胱はめくれています。めくれ膀胱です。この駄文をお読みくださっている方々の中で、膀胱をめくったご経験のある方の割合はどれくらいになるのでしょう。いや「0」だろ普通。

こうして前回の投稿のフリが見事に回収されて非の打ちどころのない結果となったわけです。
もちろん現場はふざけていたわけではなくて。
術後に聞いた説明によると、実際に開腹してみると予想以上に狭窄部分の石化が進んでおり、しかもレントゲン写真で診るよりも範囲が広かったそうなのです。
従ってプラン①だと切除部分が多くなり、繋がった尿管にかかるストレスにより再発の可能性が出てくるとのことで見送られました。執刀医は尚も説明を続けます。

「癒着も進んでおり、今までのようにステント(尿管を広げる管)を入れる対応を続けていたら患部がいずれ破れてしまっていたかも」

ちょっとどころかかなり怖くないですか?「尿管破ける」って、また新しいワードぶち込んでくるし。
いずれにせよ狭窄部分はもう限界だったようで、色々な条件が重なって、結局はプラン②一択だったようです。

現在、左鼠径部辺りに10センチ程の手術痕があります。
術前の説明では5センチ程度と聞いていたので、予想以上の状態だったことが伺えます。
傷が痛むので、まだ通常の6割くらいのスピードでしか動けません。
だから皆さんにお願いがあります。どうかしばらくは僕を急かさないでください。

あ、それと今回の入院で初体験だったのが「回復手術」と「リハビリ」と「紙おむつ」でした。
それぞれの極めて個人的な感想を述べておきます。

●開腹手術●

入院二日目の朝、看護師に呼ばれて徒歩で手術室に向かいます。手術台に横たわり、事前に受けていた説明通り、先ずは術後の痛み止めのための部分麻酔(脊椎麻酔)。それから口にマスクをあてがわれて全身麻酔。今回は点滴からの注入で、マスクからは新鮮な酸素が静かに流れて来ます。「はい、深呼吸して」という執刀医の言葉。いつもの感覚。手術のときはいつもそうであるように、「そう簡単に意識をお前たちに渡さない」という無意味な決意を胸に大きく息を吸いました。
目覚めたときには全てが終わっていました。今回も全身麻酔には抗えませんでした。この日はICU(集中治療室・これも初体験!)で過ごし、次の日に一般病棟に戻るとのこと。ぼんやりとした意識の中で「ああ、終わったんだ」と思いながら小さく息を吐きました。
どれくらい時間が経過したのでしょう。麻酔の影響で深い眠りに就いていた僕はふと目を覚ましました。文字通り全身に汗が噴き出し、強烈な悪寒が全身を包んでいました。吐き気があっても手術直後だけに吐く体力もありません。何だろう、今まで経験したことない感じ。これヤバいかも。死を意識すると言うと大げさかも知れませんが、正にそんな感じです。思うように動かない身体に鞭打ってナースコールで助けを求めます。数人の看護師が駆けつけてくれて、病衣を交換し、全身の汗を拭いてもらい、点滴を受けてどうにか悪寒は治まりました。これが開腹手術の洗礼か。かなり恐怖感を味わった手術当日でした。

●リハビリ●

次の日に一般病棟に戻りました。勿論、手術は大成功でした。しかしそれだけで終わらないのが開腹手術。次は回復部分が厄介でした。そりゃ生身を切ったのだから当たり前といえば当たり前なのですが、それが超つらい。声を出したり、身体を動かしたりするだけで激痛が走ります。なので一日に4度の鎮痛剤が必須です。服用後は安静にしていれば痛みはありません。しかしそれ以外は若干の効果は感じられるものの、しんどさにはほとんど変わりはありません。
そんな僕に追い打ちをかけるように新たなミッションが加わります。

「リハビリのために歩いてください」

は?歩く?こんなに痛いのに?身体の向きを変えるのにも四苦八苦してるのに?
担当看護師曰く、麻酔で滞った内臓(特に腸)の動きを元に戻すためにあることは大事だとのこと。病棟内を無理せずに体調に合わせて少しでもいいからということなので、とりあえず動いてみることに。とこれが全然歩けない。信じられないことに足が前に出ないのです。動かないというよりは傷口の痛みへの恐怖が大きいかもしれません。二日前まではスタスタ歩いていたのに、正におじいちゃんのような動き。このギャップに驚かざるを得ませんでした。結局僕のリハビリ初日はたったの5歩で終わりました(笑)。
しかしながら日が経つにつれて歩数も順調に伸びました。自分なりにルートを決め、最初は一周、次の日は二周といった具合に。痛みとの付き合い方も徐々に覚えていきました。痛みが痛みだけに無理しようにも出来なかったのがちょうど良かったのかもしれません。腸の具合も元に戻りました。

●紙おむつ●

これは別に要らないんじゃないの?と思ったのですが(別の病院で入院したときは未使用)、看護師の有無を言わさぬ気迫に押されて初使用しました。いわゆる普通のパンツのように履くタイプ。感触としては滑らか。腰回りがモコモコした感じにはなるけれども、肌に違和感のような感じはない。ただ、どうしたって見た目に難あり。おっさんと赤ちゃんの融合は難しい。だって9:1でおっさんの割合のほうが大きいわけだから可愛らしさは皆無です。さすがに己の姿を鏡に映す勇気はありませんでした。もちろん、市販されているものよっては腰回りスッキリタイプもあるでしょうから、僕が使用したタイプが紙おむつのスタンダードではないと思います(そりゃそうだ)。
今思えばの話。紙おむつ使用中は、排尿を助ける管が身体に刺さっていたので、いわゆる「おもらし」が出来ませんでした。赤ちゃんの頃の記憶を呼び起したり、紙おむつの吸水性を実験したりしておけば良かったかなあ。

いずれにしても、これで長年にわたる心配事の一つが解消されたわけですから、それに関してはとても気分がいいですね。とりあえず、これまでのような尿管結石の痛みに悩まされる可能性は低くなったんだと思います。後は結石を作らないようにすること。まあこれは体質なのでどうしようもない部分もあるのですが、引き続き、食べ物にはちょっと気を使っていこうと思います。50代になってから本当に自分の健康と向き合う日々です。これが歳を取るということなのかもしれませんね。

これで本当に最後。
どうせなら膀胱がどんな感じでめくれてるのかちょっと見たくないですか?

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