劇団words of hearts 第18回公演
「この生は受け入れがたし」
【あらすじ】
東北地方にあるとある田舎町にある寄生虫研究所。ここに東京から新たに研究員の昭夫が赴任してきた。研究熱心な昭夫とは対照的に、妻の由美は田舎の暮らしになかなか馴染めずにいる。このままじゃいけないと、由美は寄生虫について学ぼうとする。そこで由美は昭夫以外の研究員の様々な面を知る。元夫とその家族との確執、東日本大震災の経験などの話を聞くうちに、由美の中で小さな変化が芽生えていく。
まちだです。
3月も間もなく終わりです。来週から4月。新年度が始まります。4月1日を境にして進学や就職・異動などで環境が大きく変わる人も大勢いるのではないかと思います。これまで慣れ親しんできた場所から離れるのは楽しみもありますが、不安も大きいですよね。僕自身、この時期になると大学を卒業し、就職のために三重県四日市市に引っ越したときのことを思い出します。初の北海道以外での生活、降り立ったJR四日市駅周辺の驚くほどの閑散、そこはかとない不安に包まれたスタートでした。今となっていい思い出ですけど。
新しい環境に慣れるのは時間がかかるものです。また慣れたとしても違和感を拭えずにどこか悶々としたものを抱えながら生活せざるを得ない場合もあるでしょう。どうして自分はここにいるのだろう。ここは自分の居場所として相応しいのだろうか。その場所が嫌なら離れればいいのですが、生活に直結している以上そう簡単にはいかない。結局、自分を押し殺して日々を送らねばならない。たまに「嗚呼、●●(地元)に帰りたいなあ」等と呟きながら。
今回の舞台「この生は受け入れがたし」はそんな人たちが集う物語です。
東北地方にある寄生虫研究室。そこで働く人々は様々な事情を抱えています。夫婦のことや、義理の家族との関係、あの震災の影響など。自分がどうしてここにいるのかを自問自答している人々の集まりです。日常生活に何ら問題はありませんが、どこか屈折した気持ちを抱えています。とても人間っぽいです。だから当人はしんどくても、それを少し離れたところから見ている人々にとってはとても笑えます。きっと自分事として捉えてしまうから。その人間描写には驚嘆の一言です。さすが平田オリザ作品と唸らされます。
この舞台を見ればきっとそれぞれの登場人物と共感できる箇所が多々あることと思います。どうか楽しんでください。そして今、自分が生活しているこの環境についてほんの少しだけ考えてみてください。もしかしたらこの劇を観た後では何か違う意味合いを感じるかもしれません。
本番まで一か月を切りました。稽古はどんどん高密度で進んでいます。札幌ではあまり見られないテイストの舞台です。東北弁のやりとりは見ている人々をちょっとした異空間に誘います。是非とも多くの方に見てほしい。チケット絶賛発売中です。あなたのご来場を劇場で首を長くしてお待ちしています。
※チケットのご予約は当サイトの特設ページ「最新公演情報」より【チケット購入はこちら】からどうぞ。直接まちだ及び関係者(俳優&スタッフ)にご連絡してくれてもOKです。